特定健診保健指導(3) 保険者責任 力量次第で保険料に差も
「奥さま、いつもごちそうばかりつくっているでしょ。ご主人、カロリー取りすぎですよ」。バイキング形式の昼食で、参加者が思い思いに選んだ食材を、管理栄養士が一人分ずつチェックしていく。事前に行った健康診断の結果と照らしながら、取りすぎの食材は横へよけられ、取らなければいけない食材が追加されていく。理想的な健康食と現実の食事のギャップに苦笑いする夫婦が少なくなかった。
http://www.chunichi.co.jp/article/living/health/CK2008021502087625.html
自動車部品メーカー・デンソーの健康保険組合が、あいち健康の森健康科学総合センター(愛知県東浦町)の協力を得て、社員向けに行っているメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)予防プログラムの一コマ。半年にわたるプログラムでは、こうした実践的な食事指導や運動方法について学んだ後、設定した生活習慣改善目標に向かって継続できるよう、健保組合の保健師がフォローする。
「平均で体重五キロ減。同じ肥満気味の人で、プログラム非参加者は年間医療費が千円増えたのに対し、参加者は千円減少しています」と同組合の保健師畑中陽子さんはプログラムの効果を評価する。四月から始まる特定健診・保健指導でも、積極的な支援が必要とする対象者に、同様のプログラムを行う予定だ。
これまでの健診事業は老人保健法などに基づいて市町村、企業などによって行われてきたが、特定健診・保健指導では、四十-七十四歳の被保険者だけでなく被扶養者も含めて、国民健康保険組合、健康保険組合などの保険者が実施主体となることが義務付けられている。また、健診の受診率が悪かったり、指導の成果が出ない場合は、罰則として七十五歳以上が加入する後期高齢者医療制度への支援金を最大で10%加算される仕組みが導入されていて、支援金が加算されれば、保険料の値上げにもつながりかねない。それだけに、保険者の力量が大きく左右する。
その保険者の多くが今、頭を抱えているのが、保健指導をどう行うかもだが、厚生労働省が定める受診率目標の「二〇一五年までに80%」という数字。全国に先駆けてメタボの概念を導入した健診を始めている尼崎市でも受診率は〇六年度で19%にすぎない。「四月に向けて、保健師が毎晩、地域でなぜメタボがいけないのかや、今回の健診の意義、健診を受けないと保険料が上がる可能性があることなどについて説明を繰り返しているのが現状」と同市国保年金課健康支援推進室の野口緑さんは語る。
特に心配されているのが被扶養者の受診率。例えば企業には、これまで被扶養者に対する健診の実施義務はなく、妻への健診までしっかり見ている組合は少ない。被扶養者は被保険者とは違い、事業所に出向くことはないし、居住地も分散しているため、健診機会を設けても受診に来てもらえない場合が少なくない。
しかし、デンソー健康保険組合では「生活習慣改善のキーマンは妻」との考えから長年、妻の健診に力を入れてきた。被扶養者が住む地域で巡回健診を行ったり、被扶養者あてに情報誌を送付したりする徹底ぶりだ。「こうした積み重ねの結果、受診率目標は何とかクリアできる見込み」と赤塚俊昭常務理事。これまでの保健事業への姿勢も当面、大きく影響しそうだ。 (遠藤健司)
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