メタボ健診
予防政策を練り直すべきだ
http://www.the-miyanichi.co.jp/contents/?itemid=7752&blogid=5&catid=15
「メタボリック症候群」の人を見つけ、運動や食生活を保健師が指導する「メタボ健診」が始まった。
40歳から74歳までの保険加入者が対象となる。目的は糖尿病など生活習慣病の予防である。
生活習慣病になる人は肥満が土台にあって、その上に高血圧や高血糖、高脂血症というリスクが重なっている場合が多い。そんな状態を一定の基準値で定めたのがメタボリック症候群である。
糖尿病、心筋梗こう塞そく、脳血管障害になる人が増加の一途をたどり、これら生活習慣病の治療に国民医療費の3割が使われている。
厚生労働省はメタボ健診の効果によって2025年度で医療給付費を2兆円削減できると見込む。
■概念固まっていない■
メタボリック症候群は病名ではない。生活習慣改善の目標を定めるための概念だ。その概念そのものが固まっていないし、さまざまな提案が乱立している。
基準の妥当性をめぐっては医学的な論争がある。
メタボ健診が本当に予防策として有効なのか、どうか。それもよく分かっていない。
米国には心筋梗塞予防のメタボ基準と、糖尿病予防のメタボ基準があり、検査項目も数値も異なる。欧米では議論が続き、医療現場ではほとんど使われていない。
一方、日本では日本肥満学会など8学会が基準を決めた。
メタボ健診では、この基準を採用。腹回りが男性で85センチ以上、女性で90センチ以上あり、その上で血圧、脂質、血糖の値が2つ以上、基準を超えるとメタボ該当者と判定される。
しかし、男性の腹回りの基準は厳しすぎる、という実感がある。事実、中高年の半数以上が引っ掛かる。糖尿病はやせていてもなるため、腹回りが基準以下で糖尿病のリスクを抱えた人が見逃されてしまうケースもある。
■検証する慎重さ必要■
基準を決めた8学会もこうした指摘を受けて、今後の研究を踏まえ、基準を再検討する方針を表明した。
末永く健診を実施していくため、また、健診の実効性を高めるために見直しは必然である。
医療政策として病気の予防を目指すことは間違っていない。
日本のメタボ基準は生活習慣病に対する社会の関心を高めた。ほとんど無関心、無知といっていい状態だったのが、今や日常の話題として登場する。
ただし、新しいアイデアを取り入れる場合は、試験を重ねるなどして検証する慎重さが必要だ。
予防政策に喫煙対策を組み入れることも訴えたい。
がんや虫歯、歯周病など生活習慣が関係するとされる疾病、症状も考慮されるべきだろう。
その上で、生活習慣の改善指導法を決める。
厚労省は、保健指導の成果が上がらない保険者に罰則を科す方針だという。その方針を正当化するだけの根拠に乏しい現状では罰則導入に納得する人はいない。早めに軌道修正して、予防政策を練り直すべきだ。
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