運用の問題はまだ多い
「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」、略して「メタボ」。私たちの生活にすっかり定着した言葉となった。会社で腹回りや身長に対する体重の割合を示す体格指数(BMI)が話題になることも少なくない。
四十歳から七十四歳までの保険加入者五千七百万人を対象に「メタボ」の人を見つけ、運動や食生活を保健師が指導する「メタボ健診」が四月から始まった。糖尿病などの生活習慣病を予防するのが狙いだ。
http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080510.html
腹回りが男性で八五センチ以上、女性で九〇センチ以上。これに血圧、脂質、血糖の値が二つ以上基準を超えると、メタボ該当者と判定される。基準は日本肥満学会など八学会が決めた。
男性の腹回りは厳しすぎて中高年の半数が引っ掛かることになるようだ。糖尿病はやせてもなるため、見逃されてしまう恐れがあるのではないか。
こうした批判を受け、当の八学会が基準を再検討する方針を示し、基準の妥当性に疑問符を付けているのも気になる。
メタボは放置すると、糖尿病や心筋梗塞、脳血管障害など重大な病気を引き起こす。これらの治療に国民医療費の三割が使われているという。厚生労働省は「健診」の効果で二〇二五年度で医療給付費を二兆円削減できると見込んでいる。
こう聞かされると、生活習慣に起因するこれらの病気を減らすために予防に力を入れなければならないと考えるのは当然だ。
特に男女とも肥満率が全国一の「肥満県」沖縄は、生活習慣病の大本とされる肥満の抑制に全力で取り組む必要がある。
だが、「健診」は運用に当たって保健師が確保できるかなどさまざまな問題が指摘されている。
健康が大事なのは言うまでもない。だが、国が半強制的に号令をかけ、しかも目標が達成できないと罰則を与えるというのはどこか変ではないか。
そもそも「健診」が予防策として有効かどうか、よく分かっていないというから、なおさらだ。
県内での健診は、南城市などで連休明けの八日から始まった。同市の対象者は約九千三百人で、国保加入者の健診受診率は〇七年度で25・8%にすぎない。
市は受診率の高い自治会に最高三十万円の報奨金を出す新制度を発表し、受診率を向上させるため懸命だ。
一二年までに受診率を65%まで引き上げないと、新たな高齢者医療保険の負担金を加算するペナルティーが課せられるからだ。
内閣府の最近の調査によると、「メタボ」の「意味まで知っていた」との回答は87・6%。予防や改善のための「食事や運動の実践を半年以上継続している」と答えた人は30・3%にとどまり、具体的な行動が伴わない実態が浮き彫りになっている。
厚労省は、軌道修正する必要があるのではないか。内閣府の調査で明らかになった意識と行動のギャップを埋める具体的な取り組みを進めるのが先ではないか、と思えてならない。
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