健康常識のウソ・ホント:睡眠時無呼吸症候群はメタボリックシンドロームとも関係?
いびきをかいて、急に呼吸が止まる--。そんな睡眠時無呼吸症候群(SAS)とメタボリックシンドロームが密接に関係することが分かってきました。メタボリックシンドロームといえば、心筋梗塞など心血管病の危険因子。SASの人も心血管病での死亡率が高いことが判明しているので注意が必要です。
http://mainichi.jp/life/health/mailife/news/20081022org00m100008000c.html
◇検証1 睡眠時無呼吸症候群とメタボの合併率は高い。その共通項は“脂肪”
睡眠時無呼吸症候群は、気道が塞がることなどが原因で、睡眠中に呼吸が何度も止まる病気です。突然呼吸が停止して無呼吸状態になり、その後大きないびきとともに呼吸が再開します。夜間の眠りが不十分なため、昼間に眠気を感じることも多く、居眠り運転の原因としても注目されています。
実は、この睡眠時無呼吸症候群は、今話題のメタボリックシンドロームとも深く関係していることが分かってきました。国家公務員共済組合連合会・虎の門病院睡眠センターの成井浩司センター長はこう話します。
「睡眠時無呼吸症候群とメタボリックシンドロームの合併率は高く、睡眠時無呼吸症候群が重症になるほどメタボリックシンドロームの合併頻度も上がります。重症者では約半数もが合併しているのです。メタボリックシンドロームの引き金になるのは肥満で、特におなかの中に脂肪がたまる内臓脂肪が危険因子となります。睡眠時無呼吸症候群の主要な原因も、肥満によって上気道に脂肪がたまること。その結果、上気道が狭くなって無呼吸を引き起こすのです。つまり、脂肪がたまるという意味では、両者は似たような病態。どちらが先かはまだはっきりしませんが、少なくとも同時に起こっている可能性が高いと考えられています」
メタボリックシンドロームは動脈硬化の原因となり、心筋梗塞などの心血管病の危険因子となることが知られています。困ったことに、両者が合併することでメタボリックシンドロームのリスクは増強され、さらに心筋梗塞などのリスクが高くなってしまうのだそうです。睡眠時無呼吸症候群が怖いのは、ただいびきがうるさいだけでなく、心筋梗塞などの危険因子となって、生命予後にも大きく影響するからです。
◇検証2 睡眠時無呼吸症候群は太っていなくても起こる。あごの小さな人も要注意!
睡眠時無呼吸症候群は太っている人がなりやすいことは確かですが、実は日本人の場合は非肥満者にも起こりえます。
「それほど太っていなくても、あごの小さな人も危険です。あごが小さい人や後退している人などは骨格の影響から、気道が狭くなりやすいのです。日本人の骨格の特徴として、短く平らな顔やあごが小さい人はけっこう多いものです。実際、調査によると、日本人の睡眠時無呼吸症候群患者の約30%は非肥満者です。太っていないからといって、油断はできないのです」
現代人の食生活は高カロリー・高脂肪のうえ、固い根菜類などは避けられ、やわらかい食べ物が好まれる傾向にあります。それがさらに肥満と小さなあごを助長することに。
「そう考えると、今後さらに睡眠時無呼吸症候群患者は増加すると見られています。現在でも、睡眠時無呼吸症候群は潜在患者も含むと約1000万人と推定されています。たとえ太っていなくても、家族などからいびきを指摘された人は早めに検査を受けて、治療を開始したほうがよいのです」と成井センター長は強調します。
◇結論 治療するといびきや無呼吸が消失。心血管病のリスクも低下
成井センター長によると、睡眠時無呼吸症候群の治療では、まず生活習慣の改善が大切だそうです。減量、睡眠前の飲酒の制限、禁煙、睡眠時の体位を仰向けでなく側臥位にすることなどを心がけましょう。それだけではなかなか改善しないときは、「CPAP療法が有効」と成井センター長。
CPAP(Continuous Positive Airway Pressure=シーパップ)は、睡眠中に装着した鼻マスクから圧力をかけた空気を送り込み、上気道を開いた状態に保って無呼吸をなくす方法です。睡眠時無呼吸症候群の治療でもっとも有効性と安全性が確立していて、いまや治療の第1選択となっています。
「CPAP療法で治療すると無呼吸やいびき、日中の眠気が消失するだけでなく、高血圧や、メタボリックシンドロームのひとつの病態であるインスリンの効きが悪くなるインスリン抵抗性も改善します。つまり、一番怖い心筋梗塞などのリスクも低下するのです」
メタボリックシンドロームの特定検診もスタートしました。メタボリックシンドロームと診断された人は睡眠時無呼吸症候群を合併している可能性があります。成井センター長は、「夜いびきをかく、朝起きたときに頭が重い、昼間の居眠りが多いなどの症状に心当たりがある人は、睡眠時無呼吸症候群の検査を受けたほうがよいでしょう」と勧めます。最近は自宅でもできる簡易検査もあるそうです。
(取材・文 石井典子)
2008年10月23日
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