【健康らいふ】メタボリックシンドローム 高山守正副院長に聞く
■カテーテル・ステント治療、格段に進歩
■冠動脈疾患の死亡率激減 心不全対策が急務
--治療で肝心なのは
http://sankei.jp.msn.com/life/body/090612/bdy0906120833005-n1.htm
大事なポイントは、できるだけ早く治療を始めることです。心臓の筋肉は15分血流が途絶えると筋肉が壊死し始めますので、6時間内が限度だとされます。カテーテルを使った冠動脈の再潅流(かんりゅう)治療を行う際には、3時間以内なら救命率と長期の生命予後も確実に良いことが証明されています。
東京CCUネットワークができた30年前当時は、心筋梗塞の患者さんをCCUに入れて心電図モニターし、心停止(心室細動)が起これば電気ショックという治療で治すことが効率よくできるようになりました。その後治療法も急速に発展して、カテーテル・ステント治療(冠動脈インターベンションともいう)が世界的に主流となっています。最近は、一般に植え込む冠動脈ステントに細胞増殖を抑える薬を染み込ませて再狭窄(きょうさく)を抑える方法を用います。急性心筋梗塞には金属だけのステントを使う方法がより多く行われます。もはや、わが国では冠動脈カテーテル・ステント治療は、完成の域に達しているといっていいでしょう。
--「冠危険因子」という言い方がありますね
発症予防には、動脈硬化、メタボ予防と合わせて考える必要があります。高血圧・糖尿病・たばこ・高尿酸などが心筋梗塞の「冠危険因子」といえますが、中でも内臓脂肪、高中性脂肪は動脈硬化を一段と進行させる因子であり、血管の「内膜機能」も悪くします。特に糖尿病の場合はその傾向が強く、細胞増殖の反応も強まるので再狭窄に気をつける必要があります。血栓で血管が非常に細くなったところより、狭窄が半分ぐらい、中程度の血管狭窄の方がかえって急に閉塞し、心筋梗塞を起こしやすいという報告がされています。動脈硬化が軽いうちでも心筋梗塞の危険性があるということが最近いわれているのです。
--「心肺蘇生」については
突然死などを救うためには非常に大事な取り組みです。平成15年に日本循環器学会の中に「心肺蘇生法普及委員会」が設けられ加わって活動しています。救急医、麻酔医の先生方も含め日本全体でこの問題を解決すべく進められてきました。医療者のみならず、すべての人の協力が必須ですが、わが国ではこの考えは欧米に比べ遅れていました。かつては心肺停止を起こすと元気に家に帰れる人は1%もなかったのです。
組織立った行政などへの働きかけから17年には、消防・医療関係者しか使えなかった「AED」が、一般にも使えるようになりました。市民に心肺蘇生を覚えてもらうのが早道との考えからです。私自身多くの講習会、イベントを催して普及に努めてきました。最近は、AED普及の成果も表れつつあります。ちなみに東京都や総務省消防庁の統計によると、市民がAEDを使用して蘇生した場合は、1カ月後に元気でいられる人は39%に上ることが分かっています。
--心臓マッサージが見直されています
心臓がぶるぶると震えだす「心室細動」になると、およそ5秒後には意識がなくなります。しかし、すぐに心臓マッサージをすれば血流がかろうじて維持できますし、それに電気ショックを加えれば、3分以内なら60%、正常心拍に戻ります。
東京都の場合、現在119番通報で救急車が駆けつけるのは、平均6分15秒。これは世界的に見ても早いのですが、まずはあわてずに家族らが救急車を呼び、その間に心臓マッサージを施すことがとても大切です。最近の調査によると、市民による心肺蘇生では、人工呼吸は不要で、手を使う心臓マッサージのみの方が成績が良いと報告がありました。また、東京都CCUネットワークでは、危険度の高い心臓病患者さんの一部には基準を決めてAEDを貸し出し家庭に設置するプロジェクトを開始しました。
--今後のCCUの役割とは
これからも心筋梗塞や心不全がどんどん増えてくるでしょう。CCUは以前、「コロナリー・ケア・ユニット(急性冠動脈疾患集中治療室)」と称していましたが、今は「カーディアック・ケア・ユニット(心臓集中治療室)」と役目が拡大しています。それは、急性心筋梗塞や不安定狭心症など純然たる冠動脈疾患ばかりでなく、「大動脈瘤(りゅう)」や、心臓の血栓が肺に飛んで起こる「肺塞栓(そくせん)症」など死亡率の高い心血管病があり、そういう疾患でもCCUに運び込まれると助かるからです。CCUは今や、カーディアックの意味通り心臓全体にかかわる集中治療室になっています。さらに近い将来、増加する「急性心不全」への対処が急務となってくるでしょう。
CCUの忙しさは半端ではありません。医師らも18時間労働が当たり前の状況です。新たな医療技術や搬送システムを開発推進するのはむろんのこと、各病院間のデータの開示や、医療環境を支える公的補助の整備など、課題はたくさんあります。
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【プロフィル】高山守正
たかやま・もりまさ 日本医科大学卒業。同付属病院集中治療室・第一内科講師を経て、平成19年、東京都CCU連絡協議会会長。同年11月から、榊原記念病院副院長・循環器内科部長。
≪「撲滅運動キャンペーン」に取り組んでいます≫
産経新聞社では、「メタボリックシンドローム撲滅のためのキャンペーン」に取り組んでいます。詳しくは、メタボリックシンドローム撲滅委員会専用ホームページ(http://metabolic-syndrome.net、metabolic-pro.net)に掲載されています。
【主催】メタボリックシンドローム撲滅委員会、産経新聞社、フジテレビジョン、ニッポン放送、フジサンケイ ビジネスアイ
【後援】厚生労働省/日本肥満学会、日本動脈硬化学会、日本高血圧学会、日本糖尿病学会、日本循環器学会、日本腎臓学会、日本心臓病学会、日本血栓止血学会、日本歯科医学会、日本歯周病学会、日本抗加齢医学会、日本CT検診学会、日本人間ドック学会、日本総合健診医学会、日本食物繊維学会、日本内分泌学会、日本プライマリ・ケア学会、日本医師会、日本臨床内科医会、日本歯科医師会、日本栄養士会、日本薬剤師会、健康・体力づくり事業財団、日本健康運動指導士会、日本フィットネス産業協会、日本生活習慣病予防協会、全国保健センター連合会、全国保健師長会、日本糖尿病財団、日本心臓財団、日本製薬工業協会、日本ウオーキング協会、日本看護協会、健康保険組合連合会、日本OTC医薬品協会、日本健康スポーツ連盟/サンケイリビング新聞社、扶桑社
【協力団体】高尿酸血症・メタボリックシンドロームリサーチフォーラム
【メタボリックシンドローム撲滅委員会】◇委員長 松澤佑次・住友病院院長(日本肥満学会理事長)◇委員 門脇孝・東京大学大学院教授(日本糖尿病学会理事長)、島本和明・札幌医科大学教授(日本高血圧学会理事長)、北徹・神戸市立医療センター中央市民病院長(日本動脈硬化学会理事長)、齋藤康・千葉大学学長(日本肥満学会理事、日本動脈硬化学会理事)、渡邊昌・生命科学振興会理事長、中尾一和・京都大学大学院教授(日本内分泌学会前理事長)
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